症例報告
腹部大動脈周囲リンパ節に26個転移を認め5年生存した進行胃癌の1例
宗岡 克樹, 梨本 篤, 佐々木 壽英
新潟県立がんセンター新潟病院外科
大動脈周囲(No.16)リンパ節に26個もの転移を有する進行胃癌症例に対し,No.16リンパ節郭清を含む胃全摘および膵尾部脾合併切除術を施行した.病理所見では低分化型腺癌であり,ssγ,ly1,v0,n4(+)でNo.16の転移は26/43であった.術後化学療法としては厚生省中島班のプロトコールに則り,MTX/5 FU交代療法を14クール施行し,術後6年2か月の現在再発の兆候もなく健在で,元気に外来通院中である.本症例はNo.16リンパ節の転移陽性個数としては量多であり,文献的にも20個以上のNo.16リンパ節転移陽性5年生存例の報告はみあたらない.当科ではNo.16リンパ節転移陽性で5年生存例を現在まで9例経験しているが,長期生存する可能性としては,P0,H0,で根治Bの手術が施行できることである.しかし,No.16リンパ節郭清の意義については全国規模のprospective randomized control studyにより今後明らかにされるものと考えている.
索引用語
gastric cancer, para-aortic lymph node dissection, 5year survivor with No. 16 positive node
日消外会誌 28: 1938-1942, 1995
別刷請求先
梨本 篤 〒951 新潟市川岸町2-15-3 新潟県立がんセンター新潟病院外科
受理年月日
1995年5月17日
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