症例報告
Watery diarrhea hypokalemia achlorhydria症候群を呈した多発性内分泌腺腫症の1例
松本 英男, 野村 修一, 田中 信一郎, 永広 格*, 平井 隆二*, 板野 秀樹, 佐々木 澄治
国立岡山病院外科, 岡山大学第2外科*
膵島腫瘍によるwatery diarrhea hypokalemia achlorhydria(WDHA)syndromeと上皮小体過形成による上皮小体機能亢進症を併せて呈した1例を報告する.
症例は71歳の男性で,水様性下痢を主訴とし高血糖,低カリウム血症,および高カルシウム血症を呈し,腹部USとMRIで膵頭部に腫瘤を認めた.さらに上皮小体の腫大も認めたが下垂体には異常を認めなかった.
血中のVIPは1,450 ng/ml,上皮小体ホルモンは8,300 pg/mlとともに異常高値を示した.膵頭十二指腸切除と2期的に上皮小体切除を行い,諸症状は消失し,VIP値と血清カルシウム値は正常化した.
本症例は膵臓のVIPomaと上皮小体の過形成を伴うmultiple endocrine neoplasia(MEN)type 1と考えられた.
索引用語
watery diarrhea hypokalemia achlorhydria syndrome, hyperparathyroidism, multiple endocrine neoplasm type 1
日消外会誌 28: 1943-1947, 1995
別刷請求先
松本 英男 〒700 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学医学部第2外科
受理年月日
1995年5月17日
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