症例報告
イレウス管が誘因と考えられる術後腸重積症の2例
京極 高久, 山田 紀彦
財団法人豊郷病院外科
イレウス管が誘因となったと考えられる術後腸重積症の2例を経験したので報告する.症例1は80歳の男性,症例2は46歳の女性でともに癒着性イレウスに対しインウス管を挿入し保存的治療を試みたが改善しないため癒着剥離術を行い,術後イレウス管を抜去したところ,症例1では術後4日目(イレウス管抜去後2日目),症例2では術後6日目(イレウス管抜去後4日目)に頻回の嘔吐を認めるようになった.超音波検査およびCTにて腸重積症と診断し開腹したところともに空腸の順行性の3筒性の腸重積症であり用手的に整復した.腸重積の先進部は腸管が癒着し屈曲した部位でありイレウス管にて蛇腹状にたぐり寄せられて癒着した腸管の襞が腸重積症を引き起こしたと考えられた.インウス管を術後腸管内圧の減圧やステントの目的で使用する場合,その抜去後においても腸重積症の合併に十分注意する必要があると思われた.
索引用語
intussusception, ileus, long intestinal tube
日消外会誌 28: 1948-1952, 1995
別刷請求先
京極 高久 〒651-22 神戸市西区糀台5丁目7-1 西神戸医療センター外科
受理年月日
1995年5月17日
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