原著
Thioacetamideによるラット硬変肝の虚血耐容能に関する実験的検討
松友 寛和, 広瀬 一, 千賀 省始, 伊藤 英夫, 林 昌俊, 片桐 義文, 飯田 辰美, 林 勝知, 鬼束 惇義
岐阜大学医学部第1外科
硬変肝の虚血耐容能を肝組織中高エネルギーリン酸化合物,胆汁流量の変動および生存率より正常肝と比較検討した.Wistar系ラットに,thioactamideを腹腔内投与して作成した硬変肝群(LC群)と正常肝群(N群)において,60分間の肝虚血を行った.肝組織中ATP,TAN(単位:µmol/gdw)は,それぞれ再灌流後60分においてLC群(2.40,7.54)は,N群(4.72,9.88)に比べ有意(p<0.05)に低値であった.TANは再灌流直前においても,LC群(6.36)は,N群(10.77)に比べ,有意(p<0.01)に低値であった.虚血後1週間の生存率(%)と再濯流60分後での胆汁流量の回復率(%)は,LC群(0,5.9)はN群(100,51.4)に比べ,有意(p<0.01)に低値であった.硬変肝では正常肝に比べ,虚血耐容能が低下していた.さらに虚血中にアデニンヌクレオチドプールの減少が高度で,再灌流後のATP合成量が低値になることが示唆された.
索引用語
bile flow, high energy phosphates, liver cirrhosis, liver ischemia, thioacetamide-induced liver cirrhosis
別刷請求先
松友 寛和 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第1外科
受理年月日
1996年1月10日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|