原著
再発からみた小肝細胞癌切除術式のあり方
首藤 太一, 木下 博明, 広橋 一裕, 久保 正二, 塚本 忠司, 奥田 豊一, 金沢 景繁, 三上 慎一, 坂田 親治, 池辺 孝*
大阪市立大学第2外科, 同 第2病理*
1993年末までの主腫瘍径2 cm以下の小肝細胞癌(肝癌)切除82例を対象に,術式と肝機能評価法,予後との関係を検討した.施行術式はHr2:8例,Hrl:11例,HrS:20例,Hr0:43例であり,広範囲切除例の肝機能は良好であったが,術式決定には術中の肝肉眼所見が最も重視されていた.82例中39例が残肝再発したが,Hr2の予後は他の肝切除術式より良好であった.そこでHr2可能条件をICG R15 15%以下,CS1,Z1以下と仮定すると,Hr2未満切除74例中12例がHr2可能例であったが,再発は2例にすぎなかった.逆にHr2未満施行で再発をきたした37例のうちHr2を行えば切除領域に再発病巣が含まれた症例は7例であったが,Hr2可能例は1例に過ぎなかった.小肝癌に対する切除術式は再発からみると,術前の肝機能成績および術中所見を考慮した現行の基準が適切であると考えられた.
索引用語
small hepatocellular carcinoma, types of hepatic resection, surgical indication, recurrence after hepatic resection
別刷請求先
首藤 太一 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学第2外科
受理年月日
1996年1月10日
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