原著
腸管洗浄法による大腸癌切除標本での遊離癌細胞検出頻度とそのviabilityについて
角田 明良, 渋沢 三喜, 神山 剛一, 高田 学, 横山 登, 草野 満夫
昭和大学医学部外科
大腸癌新鮮切除標本を用いて,腸管内遊離癌細胞の存在とviabilityについて研究した.切除標本19例を対象に腸液の細胞診を行った.Cell viabilityは切除標本15例を対象として,癌腫の口側と肛門側腸管洗浄液を採取し,密度勾配遠心法で癌細胞を分離した後,trypan blue exclusionと蛍光色素法にて評価した.細胞診における癌細胞の陽性率は67~100%と高率であった.また癌細胞の密度は癌腫からの距離が5 cm以内のほうが,5 cmより遠位に比べて大であった.Viabiltty studyでは口側腸管洗浄液から分離された癌細胞数の中間値は0.66×105個で,そのviabilityは79%であった.肛門側腸管洗浄液からの癌細胞数の中間値は0.27×105個で,そのviabilityは83%であった.蛍光色素法を行った症例は,全例に蛍光を発する大型のviableな癌細胞が認められた.以上,腸管内遊離癌細胞は高率にviabilityを有し,implantation metastasisの可能性が強く示唆された.
索引用語
implantation metastasis of colorectal carcinoma, viability of free malignant cells
日消外会誌 29: 1022-1027, 1996
別刷請求先
角田 明良 〒142 品川区旗の台1-5-8 昭和大学医学部外科
受理年月日
1996年1月10日
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