臨床経験
浸潤・再発様式からみた膵頭部領域癌に対する上腸間膜動脈周囲郭清の意義
萱原 正都, 永川 宅和, 荒川 元, 八木 治雄, 二上 文夫, 長森 正則, 北川 裕久, 太田 哲生, 上野 桂一, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
膵頭部領域癌133例(膵頭部癌70例,下部胆管癌31例,乳頭部癌32例)の再発・浸潤様式を検索し,上腸間膜動脈神経叢一部温存郭清の可能性について検討した.リンパ節転移は膵頭部癌の79%,下部胆管癌の67%,乳頭部癌の44%に,神経叢浸潤はそれぞれ60%,26%,3%に認められた.神経叢浸潤部位は膵頭部癌ではPL.phIIが,下部胆管癌ではPL.phIが多かった.また,No.14リンパ節転移率はそれぞれ34%,32%,16%,No.16転移率はそれぞれ19%,6%,0%であった.再発形式を膵頭部癌肉眼治癒再発確認40例でみると,リンパ節再発,後腹膜局所再発が88%にみられた.下部胆管癌治癒再発6例では全例に後腹膜再発がみられ,膵臓浸潤の強いものが多かった.以上より,膵頭部癌では上腸間膜動脈神経叢とNo.14,No.16リンパ節郭清を行うことが重要であり,脾臓浸潤をみない下部胆管癌や乳頭部癌では上腸間膜動脈神経叢を一部温存したNo.14リンパ節郭清が可能であると考えられた.
索引用語
pattern of tumor spread for carcinoma of pancreatic head area, mode of recurrence, redical dissection without nerve plexus resection
日消外会誌 29: 1084-1088, 1996
別刷請求先
萱原 正都 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1995年12月6日
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