原著
術前門脈枝塞栓術後の肝再生―特に部分胆管結紮下での効果に関する実験的検討
田中 丈二, 石山 秀一, 布施 明, 塚本 長
山形大学第1外科
門脈枝塞栓術(以下,PE)の効果と肝再生,胆汁うっ滞下でのPEの効果につき検討した.家兎を用い,部分肝切除,PE,胆管結紮切離(以下,BL),PE 兼 BLの各モデルを作成して検討した.肥大葉の3H-thymidine摂取率(in vitro)はPE施行後は第1~7日に軽度上昇(第7日:229.1±72.0%)したが,胆汁うっ滞による障害はなかった(205.4±52.5%).胆汁うっ滞下PE後の塞栓葉の萎縮は強く,第14日非塞栓葉重量(2.18±0.06%;対体重比)は胆汁非うっ滞下PE後(1.14±0.04%)より高値だった.門脈枝塞栓および胆汁うっ滞のある部のin vitroでのDNA合成能は第5日に上昇(356.2±68.2%)し,この部での再生のpotentialは高まっていると思われたが,bromodeoxy-uridine標識率(in vivo)では再生は認めなかった.以上より部分胆管閉塞下でもPEの効果が期待でき,塞栓巣の胆道ドレナージは非塞栓葉の再生の点からは,むしろ行わないほうが効果的である可能性が示唆された.
索引用語
transcatheter portal embolization, partial cholestasis, regeneration of the liver, carcinoma of the hepatic hilus
日消外会誌 29: 2098-2105, 1996
別刷請求先
田中 丈二 〒990-23 山形市飯田西2丁目2-2 山形大学医学部第1外科
受理年月日
1996年6月12日
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