原著
Collagen-spongeと分層皮膚を用いた人工食道に関する実験的研究―植皮片収縮抑制効果の検討―
齊藤 素子, 坂本 隆, 藤巻 雅夫, 野崎 幹弘*
富山医科薬科大学第2外科, 東京女子医科大学形成外科*
人工食道の問題点の1つである術後狭窄を回避する試みとして,広背筋上に人工真皮(アテロコラーゲンスポンジ)を移植した後,10/1,000インチの分層皮膚移植を行い3層構造の管腔を作製することを考案した.
今回は,人工真皮による植皮片の収縮抑制効果について検討を行った.人工真皮を広背筋上に移植し一定期間おくことで,真皮に類似した組織(いわゆる疑似真皮組織)が再構築された.また,同部位への植皮は感染例を除きすべて良好に生着した.植皮面積の収縮率は,人工真皮移植群で43.4±4.1%,広背筋上に分層皮膚移植のみを行った対照群で61.0±10.2%であり,人工真皮を使用することで,分層皮膚の収縮は有意に抑制された.これより,人工食道移植後の狭窄を防止する上で,人工真皮の使用は有用であると考えられた.
索引用語
artificial esophagus, artificial dermis, collagen sponge, contraction rate
別刷請求先
齊藤 素子 〒930-01 富山市杉谷2630 富山医科薬科大学第2外科
受理年月日
1996年11月13日
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