食道癌手術侵襲に対するメチルプレドニゾロン術前投与の効果に関する検討

佐藤　信博, 肥田　圭介, 池田　健―郎, 大塚　幸喜, 木村　祐輔, 青木　毅一, 八重樫　泰法, 岩谷　岳, 石田　薫, 斎藤　和好

岩手医科大学医学部第1外科

　メチルプレドニゾロン（MP）による手術侵襲軽減効果を検討する目的で，食道癌患者を対象としてMP 10 mg/kg術前投与群10例（MP群），対照群10例（C群）に無作為に割り付け検討を行った．MP群において術後末梢血中のIL-6，IL-8，顆粒球エラスターゼは低値で推移し，白血球数が高値で推移した．M-CSFと非特異的免疫能，NK細胞活性の変動には両群に差はなかった．呼吸係数，NAG Index，血清総ビリルビン値を指標とした術後臓器障害はMP群が軽度だった．両群に術後感染症，縫合不全，在院死亡は認めず，遠隔成績，再発状況にも差はなかった．MP術前投与は炎症性サイトカインと好中球の過活性化の制御により術後臓器障害を軽減するものと考えられた．

索引用語
esophageal cancer surgery, methylpredonizolone, cytokine, postoperative complication

別刷請求先
佐藤　信博　〒020　盛岡市内丸19-1　岩手医科大学医学部第1外科

受理年月日
1997年3月18日

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