原著
食道癌の術前リンパ節転移診断法としてのGd-MRIの有用性に関する研究
牧野 治文
千葉大学第2外科(主任:磯野可一教授)
食道癌のリンパ節転移診断におけるGd-MRIの有用性を検討した.対象:食道癌手術例42例(摘出リンパ節50結節).方法:P-MRIを撮像した後,Gd-DTPAを0.1 mmol/kg静脈内投与し結時的にGd-MRIを撮像した.描出されたリンパ節のintensity変化と摘出標本における組織学的転移の有無について検討した.結果:食道癌の転移リンパ節と非転移リンパ節のintensityは造影7.5分後に最大の差を認め,造影7.5分後での検討が有用と考えられた.簡便な診断基準を設けるためenhancement ratio(ER)を考案し検討を加えた.ER=45%をcut off値とした場合極めて良好な結果がえられた(sensitivity 93.9%,specinficity 88.2%,accuracy 92.0%).Gd-MRIは食道癌の術前リンパ節転移診断に有用であり,今後,食道癌の治療方針決定にGd-MRIが重要な検査法となると思われた.
索引用語
esophageal cancer, preoperative diagnosis of esophageal cancer, lymph node metastasis of esophageal cancer, gadolinium enhanced magnetic resonance imaging, Gd-DPTA
日消外会誌 30: 1973-1977, 1997
別刷請求先
牧野 治文 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1997年5月21日
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