症例報告
CREST症候群に併発した逆流性食道炎に対して腹腔鏡下噴門形成術が著効した1例
小村 伸郎, 柏木 秀幸, 青木 照明, 古川 良幸
東京慈恵会医科大学外科
嚥下困難を主訴とし,逆流性食道炎を併発したCREST症候群の1症例を経験した.
上部消化管造影検査では食道はアカラシア様に拡張し,下部食道の狭小化が認められた.アカラシア分類に当てはめるとFlask type,Grade IIIに相当した.内視鏡では約5 cm長にわたりSavary & Miller III度の全周性の食道炎が存在し,24時間pHモニタリング検査では食後期のみに一致した酸逆流が観察され,pH 4未満時間は9.8%と著明に延長していた.本症例に対して食道通過障害の解除,逆流防止機構の修復を目的として腹腔鏡下にHeller‐Dor法を施行した.術後には嚥下困難をはじめとする症状は消失し,食道の狭小化は解除された.また,食道炎は瘢痕像となり,pH 4未満時間も0%になった.強皮症の食道機能障害に付随する症状への外科手術アプローチとして,本手技は有用であると考えられた.
索引用語
CREST syndrome, reflux esophagitis, laparoscopic Heller-Dor cardioplasty
日消外会誌 30: 1985-1989, 1997
別刷請求先
小村 伸朗 〒105 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学外科学講座第2
受理年月日
1997年5月21日
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