症例報告
食道破裂をきたした早期食道癌のリンパ節郭清を伴う1期的切除再建例
木ノ下 義宏, 鶴丸 昌彦, 宇田川 晴司, 梶山 美明, 堤 謙二, 上野 正紀, 秋山 洋, 星原 芳雄*
虎の門病院消化器外科, 同 消化器内科*
食道破裂は早期診断が予後を左右するといっても過言ではない.今回,われわれは表在食道癌の術前検査後に食道破裂をきたした症例に対してリンパ節郭清を伴う1期的切除再建を行ったので報告する.症例は53歳の男性で,術前内視鏡診断は胸部下部食道の0-IIc表層拡大型であった.深達度診断はm3であった.内視鏡検査後,昼食をとり食後の嘔吐に引き続き心窩部痛,背部痛が出現した.発症4時間後に胸部単純X線,CT撮影より食道破裂と診断した.食道癌に対する治療としては郭清を伴う切除再建が必要であるが,食道破裂に対するドレナージ術後の2期的手術の場合,癒着瘢痕により郭清は極めて困難を要する.自験例は全身状態も安定していることから,縦隔のドレナージを行うと同時に郭清を伴う1期的食道切除再建を施行した.術後は経過良好で,第20病日に軽快退院した.食道破裂は早期に診断できれば比較的予後は良好で,自験例のように食道癌に対する1期的なリンパ節郭清,切除再建も可能であると考える.
索引用語
superficial esophageal cancer, rupture of the esophagus, simultaneous resection with lymph node dissection and reconstruction
日消外会誌 30: 1990-1994, 1997
別刷請求先
木ノ下義宏 〒105 東京都港区虎ノ門2-2-2 虎の門病院消化器外科
受理年月日
1997年5月21日
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