症例報告
リンパ節転移を認めた直腸微小カルチノイドの1症例
丸山 祥司, 岡部 聡, 新井 健広, 李 宗成, 村瀬 尚哉, 椿 昌裕, 遠藤 光夫
東京医科歯科大学第1外科
腫瘍最大径5 mmでリンパ節転移を認めた直腸カルチノイドの1症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は65歳の女性,排便時出血を主訴として近医受診.直腸癌と診断され当科受診となった.下部消化管内視鏡検査で下部直腸に限局潰瘍型の進行癌,その3 cm口側に5 mm大の黄白色扁平隆起性病変を認めた.進行下部直腸癌,および粘膜下腫瘍の診断のもと,低位前方切除,3群リンパ節郭清術を施行した.口側の病変は深達度sm,最大径5 mmのカルチノイドで,下腸間膜幹リンパ節に転移を認めた.なお進行癌は深達度mpで,リンパ節転移は認めなかった.文献的には最大径1 cm未満の直腸カルチノイドの転移例はまれで,筆者の検索する限りでは本報告例が最小であった.直径1 cm以下のカルチノイドに対しても転移の有無の術前検索は必要で,転移が疑われたならば,系統的リンパ節郭清を伴った切除手術が必要であると思われた.
索引用語
rectal carcinoid, lymph node metastasis of rectal carcinoid
日消外会誌 30: 2044-2048, 1997
別刷請求先
丸山 祥司 〒113 東京都文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1997年5月21日
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