特集
膵癌根治切除における至適郭清範囲
金光 敬一郎, 平岡 武久, 辻 龍也, 森崎 哲朗, 北村 信夫
熊本大学第1外科
拡大郭清手術例46例(術中照射:IORT併用35例)とts1症例15例からの膵癌の至適切除範囲を検討した.拡大郭清手術例の87%はstage IVa以上で,リンパ節転移は80%陽性で,膵外神経叢浸潤は66.7%陽性であった.治癒切除率は71%であった.拡大郭清例のIORT併用例でのみ5年生存率16.8%,stage IVaで18.9%の予後が得られたが,stage IVbやn2症例は1年以内に癌死した.剖検では拡大郭清単独例に比べ術中照射(IORT)例では局所再発を60%においては認めず,再発例でも軽微で,改善を認めた,1 cm以内膵癌では進行度も低く,標準郭清で予後も良好であった.膵癌の至適切除範囲として,1 cm以内膵癌は標準郭清手術,1 cm以上stage IVaまでの膵癌には拡大郭清手術とIORTを適応すべきであり,stage IVbやn2症例にはpalliative切除が望ましい.
索引用語
pancreatic cancer, extended operation, rational dissection
日消外会誌 30: 2054-2058, 1997
別刷請求先
金光敬一郎 〒860 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第1外科
受理年月日
1997年7月2日
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