特集
肝門部胆管癌,進行胆嚢癌における臨床病理学的検討からみた至適肝切除範囲
林 伸一1)2), 宮崎 勝1), 大塚 将之1), 古谷 成慈1), 伊藤 博1), 中川 宏治1), 安蒜 聡1), 清水 宏明1), 中島 伸之1)
千葉大学医学部第1外科1), 国立習志野病院外科2)
肝切除を施行した肝門部胆管癌18例および進行胆嚢癌19例において,切除標本を臨床病理学的に詳細に調査し,肝切除の妥当性およびその至適切除範囲を検討した.
1)肝門部胆管癌の78%の症例に肝側上皮外癌浸潤を認め,その局在は壁外であつた.右側優位型では肝右側に,左側優位型では肝左側に有意に上皮外浸潤していた.上皮内進展先進部より15 mm肝側で切除すれば72%の症例で肝側断端陰性を得られ,同様に術前PTBD造影像より判断した進展範囲より15 mm肝側で切除すれば89%の症例で肝側断端陰性を得られる結果となった.
2)組織学的癌進達度ss以上の進行胆嚢癌では32%の症例に肝転移を認め,1 mm以下の顕微鏡的肝転移を4病巣(36%)に見た.特に組織学的肝内直接浸潤陽性例では積極的に肝切除を行うべきであると考えられた.切除範囲は,拡大肝右葉或いは少なくともS4aS5切除が妥当なものと考えられた.
索引用語
hepatic ductal carcinoma, gallbladder carcinoma, hepatectomy
日消外会誌 30: 2079-2083, 1997
別刷請求先
林 伸一 〒275 千葉県習志野市泉町1-1-1 国立習志野病院外科
受理年月日
1997年7月2日
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