特集
食道癌における至適切除範囲の検討
小出 義雄, 岡住 慎一, 松原 久裕, 宮澤 幸正, 有馬 美和子, 福長 徹, 浦島 哲郎, 菅谷 睦, 大渕 徹, 前田 智子, 磯野 可一
千葉大学第2外科
胸部食道癌の至適切除範囲を,食道の切除範囲,リンパ節の郭清範囲および隣接臓器の合併切除の3要因に分け検討した.胸部食道全摘例は部分切除例に比べ残遺食道再発率が低く,術前あるいは術中診断が困難な微小壁内転移や脈管内侵襲の遺残を防ぐために全摘することが望ましい.n(+)例において,3領域郭清では有意にリンパ節再発率の減少がみられ,予後向上が得られた.リンパ節転移およびリンパ節再発の状況から,深達度mm以上のIu・Im例およびmp以上のEi例では3領域郭清を原則とすべきである.また,癌の浸潤が粘膜筋板に達しない症例では,内視鏡的粘膜切除術やriskに応じたリンパ節郭清の縮小化,あるいは非開胸食道抜去術を適応することができるものと思われた.隣接臓器浸潤例に対する重要臓器合併切除は,手術成績・遠隔成績とも極めて不良であり,現時点における根治手術の対象は,術前補助療法の奏効例に限定すべきであると考えられた.
索引用語
optimal extent of esophageal resection, lymph node metastasis of esophageal carcinoma, 3-field lymph node dissection
日消外会誌 30: 2088-2092, 1997
別刷請求先
小出 義雄 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1997年6月11日
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