特集
食道癌切除例における口側進展形式の検討
桑野 博行, 川口 英俊, 佐伯 浩司, 園田 耕三, 大賀 丈史, 北村 薫, 中島 秀彰, 藤 也寸志, 杉町 圭蔵
九州大学第2外科
食道癌切除術での切除範囲選択の指標を明らかにすることを目的として癌の口側進展形式を検討した.1980~1995年の当科食道癌切除例405例中,術前無治療で手術を施行した症例から,ep癌,a3癌,切除断端陽性例を除いた122例を対象とし,口側進展形式を(1)垂直型,(2)上皮内伸展型,(3)多発癌型,(4)上皮下進展型,(5)脈管侵襲型,(6)壁内転移型に分類した.122例の進展形式は(1)44例(36%),(2)50例(41%),(3)7例(6%),(4)13例(11%),(5)5例(4%),(6)3例(2%)であった.これらは主病変の組織型別には差はみられず,深達度別にみるとm癌で上皮内伸展が18/28例(64%)にみられる一方,外膜侵襲a癌では上皮下進展が30 mm以上に及ぶものもみられた.食道内腔に露出した病変は術前の詳細な内視鏡検査で確認できるが,特に進行癌では上皮下病変の存在もあり可能であれば4.0 cmの口側距離を確保することが良いと考えられた.
索引用語
resection margin, intraepithelial spread of esophageal cancer, subepithelial spread of esophageal cancer
日消外会誌 30: 2093-2097, 1997
別刷請求先
桑野 博行 〒812 福岡市東区馬出3丁目1-1 九州大学医学部第2外科
受理年月日
1997年6月11日
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