特集
上部胃癌に対する噴門側胃切除術の適応について
嘉悦 勉, 河村 正敏, 長山 裕之, 高村 光一, 小松 信男, 丸森 健司, 小林 英昭, 鈴木 恵史, 新井 一成, 草野 満夫
昭和大学第2外科
過去44年間に当教室で切除された上部胃癌(C,CM,CE)318例を対象とし,噴門側胃切除術の適応について検討した.各深達度別のリンパ節転移の割合はm:0%(0/23),sm:6.1%(2/33),mp:25%(4/16),ss:74.1%(43/58),se:81.3%(104/128),si:91.7%(55/60)で,ss以上でリンパ節転移が高率であったが,mp以深ではリンパ節転移n2までであった.またsm,mp癌の転移リンパ節の詳細はsmがNo 1,7,mpがNo 1,2,3,11で,No 4d,5,6,10に転移を認めなかった.治癒切除後の再発形式でも深達度mpまでの癌でリンパ節再発を認めたものはなく,深達度mpまでの5年生存率でも噴切群86.7%に対し全摘群74%と両群間に差を認めなかった.以上よりC領域の早期胃癌においてはD1+No 7,mp癌においてもD1+No 7,11の郭清を加えることにより噴切は適応となる.深達度ss以深ではn2以上の転移が高率であり噴切の適応とはならず,拡大郭清が適応となろう.
索引用語
proximal gastrectomy, gastric cancer in the upper third of the stomach
日消外会誌 30: 2098-2102, 1997
別刷請求先
嘉悦 勉 〒142 東京都品川区旗の台1-5-8 昭和大学医学部第2外科
受理年月日
1997年6月11日
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