特集
横行結腸癌症例の至適切除範囲における臨床病理学的検討
井原 厚, 大谷 剛正, 相原 成昭, 野沢 直史, 国場 幸均, 榊原 譲, 比企 能樹, 柿田 章
北里大学東病院消化器外科
1986年~1996年の大腸癌手術例1,060例中横行結腸癌切除例79例(7.5%)を対象とした.横行結腸切除例のリンパ節転移は,n0:45例(57.0%),n1:14例(17.7%),n2:7例(8.9%),n3:3例(3.8%),n4(以下SMA+):10例(12.7%)であり,このSMA+10例が横行結腸切除術+D3では問題となる.そこで,このSMA+をいかに予測するか,その危険因子について検討し,横行結腸癌症例の至適切除範囲についてまとめると,1.壁深達度がmpまでの横行結腸癌では,リンパ節陽性例は認められず横行結腸切除術の適応と考えた.2.SMA系リンパ節転移の危険因子としては,次の通りである.1)壁深達度:ss以上,2)組織型:低分化腺癌,未分化癌,3)脈管侵襲:ly2・V2以上,4)浸潤増殖様式(INF):INFβ,γ,5)腫瘍径:3 cm以上3.ss以上の進行癌で上記2つの2)~5)の何れかの条件を満たすときは,SURGICAL TRUNKの郭清を考慮した拡大右半結腸切除術の適応と考えた.
索引用語
transverse colon cancer, surgical trunk, lymph node dissection in cancer of transverse colon
日消外会誌 30: 2117-2121, 1997
別刷請求先
井原 厚 〒228 相模原市麻溝台2-1-1 北里大学医学部東病院消化器外科
受理年月日
1997年6月11日
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