特集
大腸癌手術における至適切除範囲
肥田 仁一, 丸山 貴正, 藤本 喜代成
近畿大学第1外科
腹腔鏡下結腸癌手術では術中にリンパ節を触診できないので根治性を損わない切除範囲が求められている.直腸癌前方切除における局所再発防止のための切除範囲を検討した.結腸癌164例,直腸癌198例のリンパ節転移をクリアリング法で調べた.結腸癌の腸管軸方向転移は腫瘍から7 cm以内で中枢方向の転移は主リンパ節に及んだ.直腸癌の肛門側間膜内リンパ節転移率は20.2%,進展距離は4 cmで,壁内進展(10.6%,2 cm)より高率かつ肛門側に達した.直腸癌のS状結腸傍リンパ節の転移率は1.0%とまれであった.結腸癌T1には腫瘍から3 cmの腸切除,T2には中間リンパ節と5 cmの腸切除,T3,T4には主リンパ節と7 cmの腸切除が必要である.前方切除ではRs,Raは3 cm,Rbは2 cm,T1,T2は1 cmのAWを確保し,RaのT3,T4には5 cmの肛門側間膜切除を,RbのT3,T4には全直腸間膜切除を行うとともに低位吻合にはS状結腸を利用したJ型結腸嚢再建で排便機能の向上を計る.
索引用語
colorectal cancer, optimal extent of intestinal resection, clearing method
日消外会誌 30: 2122-2126, 1997
別刷請求先
肥田 仁一 〒589 大阪狭山市大野東377-2 近畿大学医学部第1外科
受理年月日
1997年6月11日
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