症例報告
茎捻転によるイレウスを発症した小腸脂肪腫の1例
原 文雄, 岡 博史, 谷村 雅一, 李 喬遠, 高山 卓也, 池田 大助, 岡村 明治*, 坂井田 紀子*
守口敬任会病院外科, 関西医科大学中検病理*
消化管脂肪腫はまれな疾患で,報告例のほとんどは腸間膜ないし腸管々腔内に発生したものである.今回,回腸末端部に壁外性に手拳大まで増大した脂肪腫が茎捻転をおこし,基部小腸をも捻転させ循環障害をおこし腸閉塞を発症した症例を経験したので報告する.
患者は52歳の男性.主訴は腹痛.来院時すでに腸閉塞状態であった.骨盤腔内に,CTにて低吸収値.MRIにてT1,T2とも高信号域を示す直径10 cmの球形腫瘍を認めたため開腹術を行った.開腹時,回盲弁より30 cm口側回腸の壁外性に10×10×12 cm大,黄白色の薄い被膜を有する弾性軟の表面平滑な腫瘤が3回転茎捻転をしていた.このため茎部近傍の回腸は軽度の循環障害に陥り,この部位を最先端部とする腸閉塞が確認されたので,基部を含めて約10 cmの回腸を切除した.腫瘍の割面は茶褐色で脂肪肝様であったが,組織学的検索で成熟脂肪腫が出血壊死に陥ったものであることが判明した.
索引用語
intestinal lopoma, ileus, peduncular torsion
別刷請求先
原 文雄 〒570-0021 守口市八雲東町2-47-12 守口敬任会病院
受理年月日
1997年11月5日
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