原著
多発小型肝細胞癌の最大結節と第2結節の組織多様性からみた肝内転移と多中心性発生との鑑別について
前場 隆志, 山根 雅彦, 関亦 丈夫, 森 誠治, 合田 文則, 岡田 節雄, 若林 久男, 臼杵 尚志, 前田 肇
香川医科大学第1外科
径30mm以下肝細胞癌(HCC)切除例のうち単発38例と多発24例の第1・第2結節を対象に,組織分化型面積比と組織学的浸潤度を比較し,小型HCCにおける多中心性多発(MC)と転移性多発(IM)の相違点を検討した. 第2結節に高分化型が存在する例をMC群,存在しない例をIM群と分類した.この分類によると,MC群が9例,IM群が15例と後者が多数を占めた.MC群の第1結節は単発結節と同等の分化型面積比と組織学的進展性を示したが,IM群の第1結節は中・低分化面積比,fc-inf陽性率,vp陽性率ともに有意に高率であった.MC群とIM群の画像上の存在部位や第1-第2結節径差には有意差を認めなかったが,DSA血管造影でIM群第2結節の濃染像が有意に高率であった. 多発する小型HCCでは,第2結節の高分化型組織像の存在の有無が,IMとMCの鑑別の一助になるものと思われる.
索引用語
small hepatocellular carcinoma, multicentric occurrence, intrahepatic metastasis, histologic differentiation grades, the largest and the next to largest nodule
別刷請求先
前場 隆志 〒761-0793 香川県木田郡三木町池戸1750-1 香川医科大学第1外科
受理年月日
1998年11月13日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|