臨床経験
腸管手術における生体内分解性吻合リング使用症例の検討
牧野 正人, 谷口 哲也, 山根 成之, 倉吉 和夫, 木村 修, 貝原 信明
鳥取大学第1外科
生体内分解性吻合リング(以下,BAR)を用い腸吻合を行った71例74吻合を検討した(小腸―小腸:5,小腸―大腸:25,結腸―大腸:44吻合).1)BARの崩壊・脱落は小腸―大腸吻合で平均術後18日,結腸―大腸吻合で術後20日であった.2)吻合時間は平均21分であった.3)縫合不全が2例(3%),創感染は5例(7%)に認められた.4)BAR吻合に特徴的な合併症として,術後10日~2週間目にイレウスを含む腹痛,嘔吐が20例(28%)に認められた.これは大腸の関与した吻合で認められ,25mm-BAR使用例で多くみられた.この腸管閉塞症状は緩下剤投与により制御可能であった.BAR吻合では標準的で安全な吻合が短時間で得られる.しかし,25mmサイズのBAR使用の場合には,閉塞症状発現に注意が必要で,BARが排出される術後約3週間までは緩下剤投与による排便コントロールを要する.
索引用語
biofragmentable anastomosis ring, bowel anastomosis, intestinal obstruction
日消外会誌 32: 2163-2166, 1999
別刷請求先
牧野 正人 〒683-8504 米子市西町62-1 鳥取大学第1外科
受理年月日
1999年3月31日
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