症例報告
Meckel憩室に起因した高齢者の絞扼性イレウスの1例
窪田 公一1)2), 碓井 健文1)2), 吉田 淳仁1)2), 金 達浩1)2), 芳賀 駿介2), 梶原 哲郎2)
会田病院外科1), 東京女子医科大学附属第二病院外科2)
高齢者でMeckel憩室に起因したまれな形態による絞扼のために,小腸広範壊死(220cm)になった症例を経験した.症例は76歳の男性.腹痛と嘔吐を主訴に来院した.胆摘術後の瘢痕と圧痛,腸蠕動音亢進から癒着性イレウスとして入院したが,翌朝に筋性防御とショック症状を認め絞扼性イレウスと判断し開腹手術を行った.手術所見では腸管の癒着や索状物および腸間膜欠損は認めず,多量の血性腹水と暗赤色に変化し幾重にも絡み合った拡張腸管を認めた.中央部の球状物を穿刺吸引して解除できた.この球状物は回腸末端から約60cmの腸間膜付着部反対側に位置し,病理組織所見で腸管の全層を有しMeckel憩室と診断された.自験例はRutherfordらの腸閉塞の機序の分類にあてはまらず,何らかの誘因で拡張したMeckel憩室が基になり頸部に腸管が巻き付き,さらに幾重にも腸管が絡み合い腸間膜基部にも虚血を生じたものと考えられた.
索引用語
Meckel's diverticulum, strangulated ileus due to Meckel's diverticulum, ileus of an advanced patient
別刷請求先
窪田 公一 〒116-8567 東京都荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学附属第二病院外科
受理年月日
1999年10月26日
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