症例報告
液体窒素飲用による胃破裂の1例
八重樫 泰法, 中島 章恵, 細井 信之, 福田 春彦, 佐瀬 正博
八戸赤十字病院外科
液体窒素の飲用による胃破裂報告は,本邦における第1例目と考えられる. 症例は17歳の男性.高校学園祭の化学部の催しで,液体窒素にジュースを混じて約30 ml飲用した.飲用直後より激烈な腹痛が発症し,当院救急外来に搬送された.来院時,著しい腹部膨満および筋性防御を認め,腹部単純X線で腹腔の約1/2を占める遊離ガスを認めた.CT検査で腹腔内の多量の遊離ガス,後腹膜腔の遊離ガスおよび縦隔内の遊離ガスを認めた.内視鏡検査では,胃体部小彎側に縦走潰瘍を認めた.緊急手術では,胃体上部小彎に3 cmの縦走する穿孔を認め,この部を縫合閉鎖した.術後経過は良好であり,第26病日に軽快退院した.液体窒素の飲用傷害について,搬送時には凍傷を考慮したが,実際は揮発窒素ガス産生による胃破裂が主であった.
索引用語
liquid nitrogen, rupture of stomach, gastrorrhexis
日消外会誌 33: 1648-1651, 2000
別刷請求先
八重樫 泰法 〒039-1104 八戸市田面木字中明戸2 八戸赤十字病院外科
受理年月日
2000年5月23日
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