症例報告
腹腔内異物肉芽腫の1切除例の経験と画像診断の検討
久保田 啓介, 羽生田 信子, 山口 浩和, 瀬戸 泰之, 河原 正樹, 安田 秀光, 上西 紀夫, 小林 有香*, 元井 紀子**
東京大学消化管外科, *同 放射線科, **同 病理科
症例は66歳の男性で腹部腫瘤を主訴に当科入院した.24年前の胃切除術の既往があった.CT上腫瘤は低濃度で不均一に造影された.MRIではT2像にて内部不均一な低信号を示し,Gd T1像で辺縁とT2像上の高信号部分に造影効果を認めた.腹腔内異物肉芽腫の診断で腫瘤を摘出した.腫瘤割面にガーゼと肉芽組織を認め,組織学的には繊維成分を含む肉芽組織が異物巨細胞・泡沫細胞を伴って認められた.腹腔内異物肉芽腫の画像所見として特異的なものは少ないが,MRIではT2像で低信号と高信号を呈するものに大別され,おのおの増殖性変化と浸出性変化を反映する.この両変化の割合により多彩な画像所見を呈する.本症例のCT・MRI上の画像所見は,組織学的所見を如実に描出していた.腹腔内異物肉芽腫は画像診断により術前診断のみならず,組織学的所見の推測まで可能と考えられた.
索引用語
retained surgical sponge, gossypiboma, magnetic resonance imaging
日消外会誌 33: 1719-1723, 2000
別刷請求先
久保田 啓介 〒112-8688 東京都文京区目白台3-28-6 東大分院外科
受理年月日
2000年6月28日
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