| 原著
 肝硬変患者における炭酸ガス気腹の門脈血流におよぼす影響 
高木 純人, 金子 弘真, 田村 晃, 城原 直樹, 片桐 敏雄, 土屋 勝, 石井 貴士, 柴 忠明 
東邦大学第2外科 
 炭酸ガス気腹の硬変肝におよぼす影響を検討するために,腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下,ラパコレ)症例を対象として健常人群と肝硬変群との間で比較検討を行った.まず,気腹直後に腹腔内圧(以下,IAP)を4~15mmHgまで上昇させた時の門脈断面積(以下,S),門脈血流速度(以下,V)および門脈血流量(以下,F)を腹腔鏡用超音波ドプラ法で測定した.測定終了後,標準術式に準じラパコレを施行し,術後肝機能の推移を記録した.術前の血小板数以外の背景因子および手術経過には両群間に有意差は認めなかったが,第1病日の総ビリルビン,AST,ALTの各値に有意差を認めた(p<0.05).また,S値,V値およびF値は肝硬変群にのみ有意な低下を認めた(p<0.01).さらに,肝硬変群のIAP 15mmHgにおけるF値は,第1病日のALT値との間に有意な負の相関関係を認めた(R=-0.888,p=0.0002).以上より,気腹直後の門脈血流測定は,硬変肝の炭酸ガス気腹による術後肝障害発生を予測する手段になりえると考えられた. 
索引用語 
laparoscopic cholecystectomy, liver cirrhosis, CO2 pneumoperitoneum, laparoscopic Doppler ultrasonography, portal blood flow 
別刷請求先 
高木 純人 〒143-8541 東京都大田区大森西6-11-1 東邦大学大森病院第2外科 
受理年月日 
2000年10月31日 
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