原著
膵管状腺癌におけるp53蛋白発現と腫瘍血管新生に関する臨床病理学的検討
藤岡 秀一, 吉田 和彦, 柳澤 暁, 村 泰樹, 小林 進, 三澤 健之, 青木 照明, 山崎 洋次
東京慈恵会医科大学外科
膵管状腺癌97例に対して,p53および腫瘍血管新生の評価としてCD34の免疫染色を行い,p53 labelling indexとintratumoral microvessel density(IMD)を求め,予後および臨床病理学的因子との関連について検討した.単変量解析では腫瘍部位,ts,v,ne,pw,stage,p53蛋白発現,IMDの8因子が有意で,多変量解析ではpwとIMDの2因子が独立した予後因子であった(p<0.05).肝再発および臨床病理学的因子との関連ではp53蛋白発現とIMDのいずれも術後肝転移率およびv因子と有意に相関した(p<0.05).またp53蛋白発現とIMDの間にも有意な相関を認めた(p=0.0004).以上より膵管状腺癌ではp53の異常が腫瘍血管新生と静脈浸潤を促進し,術後肝転移に影響している可能性が示唆された.
索引用語
pancreatic cancer, prognostic factor, hepatic metastasis, intratumoral microvessel density, p53
別刷請求先
藤岡 秀一 〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学外科学講座第一
受理年月日
2000年10月31日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|