症例報告
巨大な胃壁内転移を伴った食道腺扁平上皮癌の1例
新谷 康, 坂本 知三郎, 水野 均, 荻野 信夫, 坂本 嗣郎
大阪府済生会富田林病院外科
巨大な胃壁内転移を伴った食道腺扁平上皮癌の1例を報告する.症例は60歳の男性.4か月前より嚥下困難が出現した.胸部中部食道のびらん性表在癌と胃噴門部の粘膜下腫瘍の術前診断のもとに,食道亜全摘,胃噴門側切除,胸腔内食道胃吻合術を施行した.食道病変は深達度smの腺扁平上皮癌であり,左胃動脈幹リンパ節への転移を認めた.噴門部病変は10×6.5×3.5cmの腫瘍で,組織学的に奬膜下から固有筋層中部に低分化型腺扁平上皮癌を認め転移巣と考えられた.食道癌の胃壁内転移は自験例を含め42例の報告があるが,腺扁平上皮癌からの胃壁内転移は文献検索しえた限りで本例が第1例目と考えられる.
索引用語
adenosquamous carcinoma of the esophagus, intramural metastasis
別刷請求先
新谷 康 〒584-0031 大阪府富田林市向陽台1-3-36 大阪府済生会富田林病院外科
受理年月日
2000年11月29日
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