症例報告
自己免疫性肝炎の経過中に発症し治癒切除しえた肝細胞癌の1例
敷島 裕之1)2), 本原 敏司1), 加藤 達哉1)2), 金子 行宏1), 加藤 紘之2)
斗南病院外科1), 北海道大学第2外科2)
自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis;以下,AIH)の経過観察中に肝細胞癌を合併した1例を経験したので報告する.症例は66歳の女性で平成元年4月よりAIHの診断にてプレドニンの内服治療を受けていた.平成11年1月α-fetoprotein(AFP)の上昇と超音波検査にて肝S8に腫瘤を認め,入院となった.輸血歴,飲酒歴はなく肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性であったが,抗核抗体陽性であった.各種画像診断にてHCCと診断し,同年3月肝亜区域切除術(S8)を施行した.腫瘍は3.3×3.0cmのEdmondson II>III型のHCCで,tw(-)の治癒切除であった.AIHのHCC合併例は,高度進行例として発見されることが多く,腫瘍マーカーはもとより各種画像診断を積極的に行うことが重要であると考えられた.
索引用語
autoimmune hepatitis, hepatocellular carcinoma, subsegmentectomy
別刷請求先
敷島 裕之 〒060-0001 札幌市中央区北1条西6丁目 国家公務員等共済組合連合会斗南病院外科
受理年月日
2000年11月29日
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