症例報告
直腸穿孔をきたした透析アミロイドーシスの1例
畝 泰樹, 野尻 卓也, 小川 匡市, 三澤 健之, 池内 健二, 山崎 洋次
東京慈恵会医科大学外科
症例は71歳の女性.22年間の血液透析歴がある.以前より左側腹部を中心とした腹痛が時にあり,大腸憩室および虚血性腸炎と診断されていた.1997年に大腸鏡下生検を施行し消化管アミロイドーシスと診断された.本年1月,下腹部痛のため緊急入院翌日に下部消化管穿孔と診断し緊急手術を施行した.直腸Ra後壁に径約1cmの穿孔があり,同部には径約3cmの硬便が存在していた.穿孔部を含む大腸部分切除および人工肛門造設術を施行した.粘膜下の小血管壁などにびまん性にβ2-microglobulin染色陽性のアミロイドの沈着を認めた.穿孔機序としては憩室炎,硬便による機械的圧迫の他に,アミロイドによる腸壁虚血の関与が示唆された.長期透析患者では,透析アミロイドーシスを消化管穿孔の危険因子として認識する必要がある.
索引用語
dialysis-related amyloidosis, rectal perforation, generalized peritonitis
別刷請求先
畝 泰樹 〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学外科学講座第1
受理年月日
2000年10月31日
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