原著
SM 胃癌の深達度亜分類の臨床的意義と問題点
石神 純也, 帆北 修一, 有留 邦明, 渡辺 照彦, 宮薗 太志, 徳田 浩喜, 中条 哲浩, 東 泰志, 夏越 祥次, 愛甲 孝
鹿児島大学医学部第1外科
胃粘膜下層癌(以下,SM 胃癌)120例を対象として胃癌取扱い規約の深達度亜分類(SM1,SM2)の有用性を検討した.SM1は50例,SM2は70例であった.リンパ節転移はそれぞれSM1:6例,SM2:20例であり,有意差が認められた(p<0.01).亜分類の境界である0.5 mm の深さは従来の3等分する亜分類(SM1,SM2,SM3)では SM1 と一部のSM2にかかっており,リンパ節転移程度は規約上の SM1 よりやや高率であった.長径20 mm 未満のSM1症例にリンパ節転移は認められなかった.縮小手術の適応となる腫瘍径の小さな症例に対して,SM 亜分類は,リンパ節転移の予測に有用であると考えられた.各部位でのSM層の厚みは,胃上部大彎で1.89 mm,胃下部小彎で1.27 mm であり,有意差が認められた(p<0.05).SM1 のリンパ節転移6例中4例は胃下部小彎であり,腫瘍占居部位による粘膜下層の浸潤程度の違いを考慮する必要があると考えられた.
索引用語
subclassification, submucosal layer, early gastric cancer
別刷請求先
石神 純也 〒890-0075 鹿児島市桜ヶ丘8-35-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
2001年1月31日
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