原著
陰部神経伝導時間からみた小児期J型回腸嚢肛門吻合術後 soiling の検討
富田 凉一1)2), 福澤 正洋1), 池田 太郎1), 越永 従道1), 藤崎 滋1), 丹正 勝久1)
日本大学第1外科1), 日本歯科大学外科2)
潰瘍性大腸炎と大腸腺腫症の5症例(男性3例,女性2例,10~15歳,平均13.0歳)についてJ型回腸嚢肛門吻合術後 soiling の病態解明を目的に,回腸瘻閉鎖術後1年目(A群)と2年目(B群)における陰部神経伝導時間について,対照16症例(C群:男性10例,女性6例,12~18歳,平均15.4歳)を用いて比較検討した.その結果,右側ではA群2.85±0.72ms,B群1.78±0.37ms,C群1.76±0.32ms であり,A群がB,C群より有意に延長していた(p<0.01).左側ではA群2.95±0.25ms,B群1.86±0.31ms,C群1.84±0.41ms であり,A群が B,C群より有意に延長していた(p<0.01).すなわち,左右両側において,A群がB,C群より明かに伝導時間の延長を示した.よって,術後1年目までの soiling の原因として,陰部神経への手術操作による損傷が考えられ,2年目ではその機能が改善し,soiling は治癒するものと思われた.
索引用語
in childhood, ileal J pouch-anal anastomosis, soiling, pudendal motor nerve terminal latency
別刷請求先
富田 凉一 〒102-8158 東京都千代田区富士見2-3-16 日本歯科大学外科学教室
受理年月日
2001年1月31日
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