症例報告
急性上腸間膜動脈閉塞症に対するウロキナーゼ動注療法:2症例の報告
宗岡 克樹1), 白井 良夫2), 高木 健太郎3), 小山 高宣3)
新津医療センター病院外科1), 新潟大学医学部第1外科2), 新潟県立中央病院外科3)
急性上腸間膜動脈閉塞症の2症例に対し,ウロキナーゼを上腸間膜動脈(SMA)に動注する血栓溶解療法を施行した.症例1は59歳の男性で,SMA 本幹に完全閉塞を認め,ウロキナーゼ60万 IU の動注により血栓は消失した.発症から SMA 再疎通までは3.5時間であった.腸切除を要さず,1か月で軽快退院した.症例2は68歳の男性で,SMA の完全閉塞を認め,ウロキナーゼ60万 IU 動注により血栓は消失した.発症から SMA 再疎通までは6.5時間であった.腹部所見は軽減したが,再疎通後3時間目から再度憎悪したため緊急手術を行った.空腸,回腸280cm が壊死しており,腸管切除再建を行ったが,術後4か月目に多臓器不全で死亡した.自験例および従来の報告例の検討からは,本療法を発症後早期(SMA 本幹閉塞では5時間以内,SMA 遠位部の閉塞では12時間以内)に行えば腸管壊死を回避できる可能性がある.
索引用語
acute superior mesenteric artery occlusion, superior mesenteric artery embolism, intraarterial infusion of urokinase
別刷請求先
宗岡 克樹 〒951-8510 新潟市旭町通一番町757 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
2001年1月31日
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