原著
術後合併症の有無からみた十二指腸潰瘍穿孔に対する大網充填閉鎖術後症例の病態について
富田 凉一1)2), 藤崎 滋1), 丹正 勝久1), 朴 英智1), 福澤 正洋1)
日本大学第1外科1), 日本歯科大学外科2)
十二指腸潰瘍穿孔術後(大網充填閉鎖術)症例20例を術後合併症の無(A群),有(B群)から2群に分け(それぞれ10例),入院時臨床的特徴を検討した.呼吸器合併症が最も多く,手術直接死亡例(直死例)はDICであった.60歳以上症例はB群がA群より多い傾向(p<0.1)を示し,直死例2例はともに60歳以上であった.発症から手術までは,A群では全例10時間以内で,B群の直死例はいずれも72時間以上であった.B群がA群より有意にCRPは高値,総蛋白量は低値(それぞれ,p<0.01)で,直死例は,CRPは高値,総蛋白量は低値であった.肝機能と胸部X線検査上の異常はB群がA群より多い傾向を示し(p<0.1),直死例1例に異常を認めた.腹水中細菌陽性率はB群がA群より高率であり,Candida albicansとKlebsiella pneumoniaeが最も多く,直死例ではいずれもKlebsiella pneumoniaeが認められた.
索引用語
perforated duodenal ulcer, omental implantation, postoperative complication
日消外会誌 34: 1277-1282, 2001
別刷請求先
富田 凉一 〒102-8158 東京都千代田区富士見2-3-16 日本歯科大学外科学講座
受理年月日
2001年3月28日
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