原著
大腸癌肝転移に対する適切な切除術
田中 邦哉, 渡会 伸治, 大田 貢由, 藤井 義郎, 永野 靖彦, 遠藤 格, 関戸 仁, 嶋田 紘
横浜市立大学第2外科
大腸癌肝転移切除後の残肝再発機序の検討から至適術式を考察した.肝転移切除後の残肝再発危険因子は,tw陽性(p<0.01),術後肝動注非施行(p<0.01)であった.一方,再肝切除後の再々発危険因子は,tw陽性(p<0.05),非系統切除(1区域未満)(p<0.05)であった.再発,再々発形態を両葉多発(多発),切離面より離れた部位(遠隔),切離面近傍(近傍)に分類すると,再発例では多発が47.4%と多く,再々発例では近傍が50.0%と多かった.転移成立最小径を100μと仮定し,再発腫瘍径とDoubling timeから,転移成立時期を類推すると,原発巣切除後が,再発例では7.5%であったのに対し,再々発例では64.3%と高率であった.以上の結果より,残肝再発は主に原発巣由来の多発再発が多いため,初回切除はtwを確保した肝実質温存手術にとどめる.一方,再々発では肝転移巣由来の近傍再発が多くなるため,再肝切除はtwを確保した1区域切除以上の系統切除が望ましい.
索引用語
liver metastasis from colorectal cancer, hepatectomy, residual liver recurrence
日消外会誌 34: 1289-1294, 2001
別刷請求先
田中 邦哉 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
2001年3月28日
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