症例報告
肝細胞癌胆嚢浸潤の1例
甲斐 恭平, 佐藤 四三, 澁谷 祐一, 山田 隆年, 中島 明, 石塚 真示, 青山 正博, 中島 晃, 鍋山 晃
姫路赤十字病院外科
胆嚢内出血による腹痛により発症した肝細胞癌の胆嚢浸潤例を経験したので報告する.症例は60歳の男性.突然の上腹部痛にて近医受診.入院経過観察中に,CTで肝内側区域に低吸収域を認め,症状軽快しないため当科紹介された.画像診断で胆嚢腫瘍の肝浸潤に胆嚢内出血,肝内出血を伴ったものを疑い開腹手術を行った.胆嚢,肝前下,内側区域,胃前庭部を一塊として摘出した.病理組織診断では低分化型肝細胞癌の胆嚢内浸潤に伴う胆嚢内出血,肝内出血と診断された.術後早期に残肝多発再発を認め,以後腫瘍の急速増大で術後54日目に肝不全で死亡した.胆嚢浸潤肝細胞癌の報告例は,本例を含め7例であったが,その予後は極めて不良であった.
索引用語
hepatocellular carcinoma, gallbladder invasion, bleeding
日消外会誌 34: 1303-1307, 2001
別刷請求先
甲斐 恭平 〒670-0032 姫路龍野町5-30-1 姫路赤十字病院外科
受理年月日
2001年4月25日
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