症例報告
原発性硬化性胆管炎に合併した早期胆管癌に対し胆管壁部分切除後胆嚢管で胆管修復術を施行した1例
吉本 健太郎1), 高森 啓史1), 辻 龍也1), 金光 敬一郎1), 猪山 賢一2), 鶴田 潤二2), 野田 健治3), 安川 俊文3), 平岡 武久1)
熊本大学医学部第1外科1), 同 附属病院病理部2), 緒方町国保総合病院外科3)
症例は71歳の男性.健診で胆嚢の異常を指摘され入院.原発性硬化性胆管炎(PSC)を合併した乳頭型総肝管癌および胆嚢壁内嚢腫の診断で,手術を行った.術中胆道ファイバーで観察すると総肝管に乳頭型隆起性腫瘤を認め,同腫瘍は術中凍結病理でcarcinoma in adenomaの診断であった.PSC合併を考慮し胆管空腸吻合を回避するため,腫瘤から約3mm離して総胆管部分切除後,胆嚢管をpatch graftとする胆管修復術を施行した.術後8か月現在,胆管修復部には,癌の再発および狭窄を認めていない.根治性に問題は残るが,肝内胆管狭窄病変を伴う早期胆管癌の場合,術後の胆道感染防止を意図した乳頭機能温存の胆管修復術は考慮すべき術式と考えられる.
索引用語
repair of the bile duct, primary sclerosing cholangitis, bile duct cancer
日消外会誌 34: 1316-1320, 2001
別刷請求先
高森 啓史 〒860-8556 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第1外科
受理年月日
2001年3月28日
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