症例報告
腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した遊走脾の1例
福嶌 五月, 仲原 正明, 荻野 信夫, 城戸 哲夫, 黒住 和史, 久原 章雄, 西 宏之, 木村 一隆, 中尾 量保, 辻本 正彦*
大阪警察病院外科, 同 病理*
症例は15歳の女性.主訴は下腹部痛.13歳時,腹痛にて施行したCT検査で脾腫(容積1,150cm3)を指摘されるも位置異常を認めなかった.今回,ジェットコースターに乗った後に下腹部痛を来し来院.CT検査にて脾臓を正位に認めず,下腹部に腫瘤(容積810cm3)を認めた.超音波検査,血管造影にて広範な脾梗塞を伴う遊走脾と診断し,腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.術中所見では脾周囲靭帯は欠失し,脾臓は腹腔内に遊離していた.脾動静脈をEndo GIA40mmRにて切離後,腹腔内で脾臓をTissue MorcellatorRを用いて粉砕し摘出した.手術時間は145分,出血量は50mlであった.病理所見は梗塞を伴った正常脾であった.第6病日に退院し,術後2年目の現在経過良好である.遊走脾に対する腹腔鏡下手術の報告は自験例を含め5例で,メッシュによる脾固定3例,脾摘2例であった.自験例は広範な脾梗塞と脾腫をともなっていたため,脾摘を行った.
索引用語
wandering spleen, splenic infarction, laparoscopic splenectomy
日消外会誌 34: 1321-1325, 2001
別刷請求先
福嶌 五月 〒565-8565 吹田市藤白台5-7-1 国立循環器病センター心臓血管外科
受理年月日
2001年4月25日
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