症例報告
クラミジア感染による肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)が原因と考えられるイレウスの1手術例
早川 弘輝, 末永 昌宏, 飛永 純一, 武内 有城, 内村 正史, 野村 尚弘, 飯田 俊雄
名古屋記念病院外科
症例は41歳の女性.手術歴はない.平成3年と5年に下腹部痛で当院を受診.平成11年11月7日夕方突然間欠的な右季肋部痛が出現,次第に増強して当院内科を受診した.右上腹部に強い圧痛を認め腸音は亢進していたが,反跳痛や筋性防御はなく,白血球数,CRP値も正常であった.腹部X線写真,およびCTで肝前面の横隔膜下に鏡面像を伴った小腸の拡張を認めた.嘔吐も出現し,イレウスの診断で経鼻胃管を挿入し内科入院したが,鎮痛剤投与でも腹痛は続き外科紹介.腹部は鼓張し腸音は金属音で内ヘルニアを疑い緊急手術を施行.肝と腹壁の間にviolin string状の索状物を伴った著明な線維性癒着を認め,その間に小腸が入り込んでいた.小腸を引き出し線維性癒着を切除してイレウス解除できた.子宮附属器に軽度の炎症像を認め,術後の採血でクラミジアIgA抗体は1.38,IgG抗体は5.41と陽性でクラミジア感染による肝周囲炎が原因のイレウスと考え報告した.
索引用語
Fitz-Hugh-Curtis syndrome, ileus, perihepatitis
日消外会誌 34: 1331-1335, 2001
別刷請求先
早川 弘輝 〒510-0836 鈴鹿市国府保子里112-1 鈴鹿回生総合病院外科
受理年月日
2001年3月28日
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