症例報告
髄膜癌腫症をきたした上行結腸癌の1例
山本 雅由, 田辺 美樹子, 長堀 優, 江口 和哉, 細井 英雄, 赤羽 久昌*
横須賀共済病院外科, 同 病理部*
症例は70歳の男性.上行結腸癌の診断で内科入院中より頭痛を訴えていた.頭部CT検査上は脳内への転移を疑わせる所見は認めなかったが,小脳溝に沿って造影剤の増強効果を認めた.開腹所見では広範囲のリンパ節転移と腹膜播種を認める進行癌であった.術後3日目より徐々に傾眠傾向となってきたため,髄膜転移を疑い,腰椎穿刺を施行したところ,髄液中に癌細胞を認めた.意識障害とともに肝機能障害が急激に進行し,全身状態が悪化し,術後12日目に死亡した. 大腸癌による髄膜癌腫症はまれな疾患であり,高度に進行した癌に多く,予後不良である.今回,われわれは急激な経過をたどった上行結腸癌による髄膜癌腫症の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
索引用語
meningeal carcinomatosis, ascending colon cancer, headache
日消外会誌 34: 1349-1353, 2001
別刷請求先
山本 雅由 〒238-8558 横須賀市米が浜通1-16 横須賀共済病院外科
受理年月日
2001年4月25日
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