症例報告
胃悪性リンパ腫術後に発症した劇症Aeromonas hydrophila敗血症の1例
長谷川 健司, 大沢 常秀, 鎌野 尚子, 桝屋 義郎, 奥野 雅史, 山田 修, 高田 秀穂, 中矢 秀雄1), 三好 勝彦2)
関西医科大学附属香里病院外科, 同 生物検査科1), 青樹会病院2)
胃悪性リンパ腫の術後に敗血症性ショックを発症し,急激な経過で死亡した1例を経験した.症例は74歳の女性.胃悪性リンパ腫に対し,胃全摘術を施行した.手術当日から,高熱,低血圧,呼吸不全を呈し,翌日には,腹壁周囲に皮下出血斑が出現し,その後数時間で広範な壊死性筋膜炎となった.腹壁切開創,腹水,血液の塗抹グラム染色でグラム陰性桿菌(後日Aeromonas hydrophila;以下,AHと同定)が多数認められた.壊死創部を切開ドレナージして,広範囲スペクトルの抗生物質への変更を行ったが,手術後50時間で死亡した.AHは免疫能の低下した病態では重症化することが報告されているが,AHによる術後の重篤な敗血症と壊死性筋膜炎の報告は,本例が第1例目である.免疫能低下症例の手術時には,本症を合併する可能性を念頭におき,Bacterial translocationのリスクを最小限にして手術を施行する必要があると考えられた.
索引用語
Aeromonas hydrophila, necrotizing fascitis, septic shock
日消外会誌 34: 1727-1731, 2001
別刷請求先
長谷川 健司 〒572-8551 寝屋川市香里本通町8-45 関西医科大学附属香里病院外科
受理年月日
2001年9月19日
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