症例報告
総胆管原発カルチノイドと腺癌の衝突腫瘍の1例
五十嵐 直喜, 金田 宗久, 小山 恭正, 片桐 誠
永寿総合病院外科
症例は58歳の男性.黄疸を主訴に来院.腹部超音波,CTおよび経皮経肝胆道造影にて下部胆管に25mmの腫瘤が認められ胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行.切除標本で下部胆管に桑実状に突出した黄白色の腫瘍と,それとは色調の異なる乳頭状に発育した腫瘍が隣接して認められた.大きさは22×25mmであった.病理組織学的にはクロモグラニン陽性のカルチノイドと乳頭状腺癌の衝突腫瘍であった.術後2年が経過し,再発兆候はみられていない.胆管のカルチノイドはまれな疾患であり,内外の報告例は自験例以外には36例であった.さらに癌と合併した症例の報告は6例と極めて少数であった.治療法は手術が第1選択であるが,胆管カルチノイドの肝転移またはリンパ節転移の報告もあるので癌に準じた手術を施行することが肝要である.
索引用語
carcinoid tumor, common bile duct carcinoma, carcinoid of the common bile duct
日消外会誌 34: 1751-1755, 2001
別刷請求先
五十嵐 直喜 〒111-8656 東京都台東区元浅草2-11-7 永寿総合病院外科
受理年月日
2001年7月31日
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