症例報告
腸間膜牽縮を伴った回腸カルチノイドの1例
上田 順彦, 根塚 秀昭, 山本 精一, 礒部 芳彰
舞鶴共済病院外科
腸間膜牽縮を伴った回腸カルチノイドの1例を報告した.患者は54歳の男性.主訴は間歇的腹痛発作.身体所見では右下腹部に約10cm大の腫瘤を触知した.腹部CT所見では回腸末端部の腸間膜内に造影早期より染まる4×2.5×7cm大の腫瘍と,それより周囲小腸に向かう放射状構造物を認めた.また,小腸内腔と壁内の2か所に造影効果陽性部分と腸間膜内に多数の小リンパ節を認めた.手術所見では回腸末端部腸間膜内に8×5×3cm大の充実性腫瘍と腫大したリンパ節を多数認めた.腫瘍を中心に回腸末端部は一塊となっていたため,これらを腫大したリンパ節とともに摘出した.切除標本では小腸粘膜面に約25mm大の広基性腫瘍1個と3~8mm大の粘膜下腫瘍を7個認めた.病理所見ではいずれもカルチノイドであったが,広基性腫瘍は漿膜下層まで浸潤していた.また腸間膜の腫瘍も同様の細胞で形成されており,リンパ節転移巣と判定した.術後1年たった現在,再発の徴候はない.
索引用語
ileal carcinoid, lymph node metastasis of ileal carcinoid, radiating soft tissue strands in the mesenterium
日消外会誌 34: 1765-1769, 2001
別刷請求先
上田 順彦 〒625-8585 舞鶴市字浜1035 舞鶴共済病院外科
受理年月日
2001年6月26日
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