症例報告
成人白血病の治療中に発症した虫垂炎性膿瘍の1例
伊神 剛, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 坂本 英至, 柴原 弘明, 太平 周作, 森 俊治, 上原 圭介
名古屋第二赤十字病院外科
症例は51歳の男性で,ふらつき感を契機に精査で急性骨髄性白血病(M5a),化学療法を施行約3週間後に右下肢痛と発熱が出現,腹部CTで腸腰筋内膿瘍を認めた.骨髄抑制の状態のため保存的に治療したところ,症状は軽快,CT上膿瘍は著明に縮小した.再度化学療法施行,約2週間後に右下腹部痛,右下肢痛,発熱が出現,CTで膿瘍の再燃を認めた.今回も骨髄抑制の状態で保存的に治療,症状は軽快し,CT上膿瘍は著明に縮小した.注腸検査で虫垂から膿瘍内への漏出像を認め,虫垂炎性膿瘍と診断した.化学療法後の骨髄抑制から回復後,虫垂切除術,ドレナージを施行した.組織学的所見は炎症のみで白血病細胞は認めなかった.虫垂炎を併発し,手術を施行した成人白血病の本邦報告例は,自験例を含めて13例ときわめてまれで,若干の文献的考察を含めて報告する.
索引用語
acute appendicitis, leukemia
日消外会誌 34: 1775-1779, 2001
別刷請求先
伊神 剛 〒466-8650 名古屋市昭和区妙見町2-9 名古屋第二赤十字病院外科
受理年月日
2001年7月31日
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