臨床経験
上腸間膜動脈閉塞症に対する右胃大網動脈有茎グラフトバイパス術の経験
上村 健一郎, 村上 義昭, 横山 隆*, 竹末 芳生, 檜山 英三*, 今村 祐司, 金廣 哲也, 佐々木 秀, 森藤 雅彦, 末田 泰二郎
広島大学第1外科, 総合診療部*
上腸間膜動脈閉塞症による回腸虚血に対して,右胃大網動脈有茎グラフトバイパス術を施行し良好な結果を得た症例を経験した.症例は,47歳の男性.近医にて,急性腹症の診断で,試験開腹術施行され,回腸虚血を認めたが,辺縁動脈の血流は保たれていたため腸切除は施行せず閉腹された.以後,保存的治療を施行されたが軽快しないため,当科紹介入院となった.血管造影では,上腸間膜動脈が根部より4cm末梢で完全閉塞しており,回腸領域は,中結腸,第一空腸動脈からの側副血行が認められた.手術は,有茎右胃大網動脈グラフトによる上腸間膜動脈バイパス術を施行した.術後の血管造影では,バイパス血流は良好であった.腸間膜動脈閉塞症による回腸虚血に対して,右胃大網動脈を使用したバイパス術は報告がなく,有効な外科的治療の1つと考えられた.
索引用語
mesenteric ischemia, superior mesenteric artery occlusion, in situ right gastroepiploic artery graft
日消外会誌 34: 1785-1788, 2001
別刷請求先
上村 健一郎 〒734-8551 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第1外科
受理年月日
2001年9月19日
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