症例報告
漿膜側脂肪組織を巻き込んだ内翻Meckel憩室による成人腸重積症の1例
本田 五郎, 大島 茂樹, 多田 修治*, 志垣 信行, 荒井 光広, 箕田 誠司, 瀬井 圭起
済生会熊本病院外科, 同 消化器病センター*
症例は41歳の男性で,3日間続く心窩部痛,嘔吐,下痢を主訴に来院し,急性腸炎の疑いで入院となった.入院後の腹部CTで,回腸から上行結腸にかけての肥厚した腸管壁の重複輪状影と,その内部に均一な脂肪密度の腫瘤影を認め,回腸脂肪腫に起因する腸重積症と診断した.開腹したところ,回腸回腸結腸型の重積を認め,回腸部分切除術を行った.切除した回腸には,黄色調の割面を持つ茸状の隆起性病変を認めた.病理組織学的に,表層は内翻した小腸壁に異所性胃粘膜組織を伴っており,内翻したMeckel憩室と診断した.中心部の脂肪組織は腸間膜と連続しており,巻き込まれた漿膜側脂肪組織であった.Meckel憩室は,漿膜側の正常脂肪組織を巻き込んで内翻することがあり,この脂肪組織は,脂肪腫との鑑別に注意を要する.
索引用語
Meckel's diverticulum, intussusception, Pseudo lipoma
別刷請求先
本田 五郎 〒861-4193 熊本市近見5-3-1 済生会熊本病院
受理年月日
2001年9月19日
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