症例報告
大腸癌治癒切除後の卵巣転移の2例
鈴木 温1)2), 関下 芳明1), 塩野 恒夫1), 藤森 勝1), 加藤 紘之2)
帯広厚生病院外科1), 北海道大学大学院医学研究科腫瘍外科2)
大腸癌治癒切除後の卵巣転移は比較的まれな再発形式である.今回,我々は大腸癌治癒切除後の卵巣転移を切除した2例を経験したので報告する.症例1:27歳の女性.下行結腸癌(n1(+)で組織学的根治度A)術後6か月に両側卵巣腫瘍を認め,両側付属器切除・子宮全摘術施行し,両側卵巣ともに組織学的に大腸癌卵巣転移の診断であった.大腸癌術後18か月,癌性腹膜炎・肝転移にて死亡した.症例2:39歳の女性.下行結腸癌(n1(+)で組織学的根治度A)術後11か月に卵巣腫瘍を認め,両側付属器切除施行し,組織学的に右側卵巣の大腸癌卵巣転移の診断であった.大腸癌術後19か月健存中である.2例ともに閉経前の女性,リンパ節転移を有する下部進行大腸癌であり,このような症例では,卵巣転移を念頭に入れた術後follow upが必要と思われた.本邦論文報告例の集計による文献学的検討を含めて報告する.
索引用語
ovarian metastasis from colon cancer, curative resection of colon cancer
日消外会誌 35: 1629-1633, 2002
別刷請求先
鈴木 温 〒080-0016 帯広市西6条南8-1 帯広厚生病院外科
受理年月日
2002年6月25日
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