症例報告
Press through package包装薬剤誤飲により直腸穿孔をきたした直腸癌の1例
神尾 幸則, 稲葉 行男, 渡部 修一, 小山 基, 大江 信哉, 林 健一, 千葉 昌和
山形県立河北病院外科
症例は84歳の女性.脳梗塞の既往があり,心房細動,うっ血性心不全で近医通院中.腹痛,嘔気が出現し,イレウスの診断で入院となった.大腸内視鏡検査でイレウスの原因が直腸S状部の2型腫瘍のためであると判明したため,経肛門的に腫瘍口側にイレウスチューブを留置した.肝機能異常のため手術を延期していたが,入院20日目,腹痛出現,翌日には腹膜刺激症状を認め,緊急手術を施行した.開腹すると膿性腹水が骨盤内を中心に貯留しており,腹膜炎の原因は腫瘍直上の口側腸管の穿孔と判明した.手術はハルトマン手術を施行した.標本を切開したところ,癌腫の口側腸管に線状潰瘍とPTP包装薬剤を認めた.最近,PTP(press through package)誤飲による消化管損傷が増加しているが,大腸穿孔の例は本邦では5例と少なく,直腸穿孔は本症例が本邦初の報告である.
索引用語
press through package, colonic perforation, perforative peritonitis
日消外会誌 35: 1634-1638, 2002
別刷請求先
神尾 幸則 〒999-3511 山形県西村山郡河北町谷地月山堂111 山形県立河北病院外科
受理年月日
2002年6月25日
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